ネットワークのIPクラスとは│今日における重要性とは?

Updated on 8月 26, 2026 by アンドレア・ミリアーニ

初期のインターネットで、コンピュータ同士が通信データをやり取りできるように「IP(インターネットプロトコル)アドレス」に基づくシステムが構築されました。その後、IPアドレスを整理するための分類として「IPアドレスクラス」と呼ばれるものが導入されました。

現在では、より新しい通信システムや効率的な通信規格が存在します。それでも、特定の状況において以前と同じIPアドレスクラスの構造が引き続き使用されています。

IPアドレスクラスとは何なのか?クラスフルアドレッシングと、これに代わる技術が導入された経緯とは? この記事では、現在のIPアドレスクラスについて知っておくべき知識をまとめました。

IPアドレスの基本原理

IPアドレスは、インターフェースに割り当てられる一意の数値識別子であり、すべてのWebサイト、コンピュータ、スマートフォン、タブレット、ルーター、その他インターネットを介してデータを送受信するあらゆる機器に割り当てられています。

インターネットの当初、幅広く使用されたIPアドレスの通信規格は、IPv4(インターネットプロトコルバージョン4)でした。このシステムは32ビットの2進形式を採用しており、約43億個のアドレスを生成可能です。1

1980年代の時点では、SNSやストリーミングサービス、スマートフォンなどが登場する前であり、IPv4アドレスの個数で十分運用できました。2 当時はインターネットの規模も比較的小さかったため、数十億台のデバイスが接続されるという事態は遠い未来の話でしかなかったのです。

しかし、インターネットの普及が加速して通信端末が増えるにつれ、1980年代後半から1990年代初頭にかけて、IPv4アドレスの枯渇に対する懸念が高まり始めました。これに対応するため、1990年代にCIDR(クラスレスドメイン間ルーティング)が開発され、IPアドレスの割り当て方法が改善され、アドレスの無駄が削減されました。3

こうした節約策が講じられたものの、IPv4のスケーラビリティの限界はますます深刻化しており、現在では新しいプロトコルであるIPv6の採用・移行が進んでいます。
IPv6は128ビットのアドレス体系を持ち、はるかに多くのIPアドレスを提供できます。

IPv6の普及は進んでいますが、今日のインターネットトラフィックの多くは依然としてIPv4に依存している現状であるため、IPv4のアドレスクラス、サブネットマスク、プライベートIPアドレス、サブネット分割、およびルーティングの基本を理解しておくべきでしょう。

IPv4およびIPv6アドレスの構造

すべてのIPv4アドレスは、32ビットの数値が「オクテット」と呼ばれる4つの区間に分割されたものです。ピリオドで区切られているため、一目で識別できます。各オクテットは8ビットで構成されており、値は0から255の範囲です。

普段目にするIPv4アドレスは、「実際の」2進数アドレスを簡略化し、人間が読みやすい形にしたものです。例えば、192.0.2.10といったアドレスです。裏側では、コンピュータはこのアドレスを2進数形式(11000000.00000000.00000010.00001010)として解釈しています。

各オクテットは、ネットワークやホスト(インターネットに接続されたデバイス)を識別する重要な役割を担っています。

一方、IPv6では、IPアドレスが128ビットに拡張され、コロンで区切られた16進数形式(例:2001:db8:85a3::8a2e:370:7334)で表記されます。この拡張形式により、膨大な数のアドレス(約340ウンデシリオン)4提供が可能となり、現代のデバイス数やスマートテクノロジーだけでなく、将来の成長やデバイス増加を支えられる程の遥かな余裕ができます。

IPv4とIPv6ではアドレス形式が異なりますがどちらも根本的な役割は同じで、デバイスが相互に識別し合い、ネットワークを介して効率的にデータを届ける役割を担います。

IPアドレスの5つのクラスとは

IPv4アドレスの数が増えるにつれてアドレス管理が困難になってきたため、ルーティングを効率化するため、「クラスフルアドレッシング(Classful Addressing)」として知られる、IPアドレスの体系的な分類システムが導入されました。

このシステムでは、IPv4アドレスを5つのクラスに分類しています。A、B、Cクラスは通常のネットワーク通信用で、DクラスとEクラスは特定の目的のために予約されています。この構造により、デバイスの整理、アドレス空間の割り当て、およびインターネットトラフィックのより効率的な誘導が容易になりました。

各IPv4アドレスクラスは、アドレス範囲、デフォルトのサブネットマスク、ネットワークとホストへの割り当て、および想定されるネットワーク規模など、割り当て用途が固定的に定義されています。サブネットマスクは、IPアドレスのような形式をした数値であり、どの部分がネットワークを指し、どの部分がホストを指すかを識別する役割を持ちます。

最初のオクテット(または最初のオクテットのグループ)は、アドレスクラス、ネットワークサイズ、およびデフォルトのサブネットマスクを定めるもので、残りのオクテットはホストデバイスを識別します。以下に、IPv4の各アドレスクラスとその範囲の概要をまとめました。

クラスオクテット範囲デフォルトのサブネットマスクホストの数主な用途
1~127255.0.0.0(8 ビット)最大16,777,214個大規模ネットワーク(旧式)
B128~191255.255.0.0(16 ビット)最大65,534個中規模ネットワーク(旧式)
C192~223255.255.255.0(24 ビット)最大254個小規模ネットワーク(旧式)
D224~239該当なし該当なしマルチキャスト
E240~255該当なし該当なし研究および実験用

IPアドレス クラスA

クラスAのIPアドレスは、大規模な組織やエンタープライズレベルのネットワークで使用されてきました。ネットワークを識別するのは、数値の範囲が1〜127までの最初のオクテットです。残りのビットはホストデバイスを識別し、大規模なネットワークで1,670万台以上の接続デバイスをサポートすることが可能です。5

対応デバイス数が多いため、大企業、政府機関、インターネットバックボーンプロバイダー、および大手組織は、クラスAのIPアドレスに依存してきました。クラスAアドレスのデフォルトのサブネットマスクは「255.0.0.0」です。クラスA IPアドレスの例:23.45.67.89。

IPアドレス クラスB

クラスBのIPアドレスは、中規模および大規模な組織で使用されてきました。このクラスでは、最初の2オクテット(つまり最初の16ビット)がネットワークに割り当てられ、残りのビットがホストを識別します。最初のオクテットの範囲は128〜191です。

この構造により、クラスBネットワークは1ネットワークあたり65,000台以上のホストをサポートすることが可能となり6、大学、医療システム、国内のインターネットサービスプロバイダ(ISP)、およびインフラ需要が拡大している大企業に適しています。

クラスBアドレスのデフォルトのサブネットマスクは「255.255.0.0」です。クラスB IPアドレスの例:172.16.25.10

IPアドレス クラスC

クラスCのIPアドレスは、クラスAやクラスBが提供するような膨大なホスト数を必要としない、小規模なネットワーク向けに設計されています。

クラスCでは、最初の3オクテット(24ビット)がネットワークに割り当てられ、最後の部分がホストに割り当てられます。最初のオクテットの範囲は192〜223です。クラスCアドレスのデフォルトのサブネットマスクは「255.255.255.0」です。クラスC IPアドレスの例:192.168.1.20。

IPアドレス クラスD

クラスDのIPアドレスは、マルチキャスト用に予約されています。マルチキャストとは、送信者が受信者ごとに個別の接続を確立するのではなく、1つの送信元から複数のデバイスに同時にデータを配信できる「一対多」の通信方式です。

マルチキャストは、ビデオ会議、ストリーミング、オンラインゲーム、ライブ配信など、同じデータを一度に多数のデバイスに届ける必要がある場面で使われます。クラスA、B、Cとは異なり、クラスDのIPアドレスは個々の組織やデバイスに割り当てられません。クラスDのIPアドレスはマルチキャスト通信専用に予約されています。

クラスDのアドレスは、最初のオクテットが224〜239の範囲です。クラスDのIPアドレスの例:224.0.0.1。

IPアドレス クラスE

クラスEのIPアドレスは、研究、実験的なネットワーク構築、および開発の目的のために予約されています。

クラスEのアドレスは一般的なインターネットネットワークでは使用されず、従来のデバイスにも割り当てられません。クラスEのアドレスは、テスト環境、ネットワーク実験、および研究施設のために予約されています。

クラスEアドレスの最初のオクテットは240〜255の範囲です。クラスEはIPv4アドレス構造の一部であるものの、ほとんどのインターネットユーザーはクラスEアドレスと直接関わることはありません。クラスE IPアドレスの例:240.0.0.10。

特別なIPアドレスと例外

ループバック、プライベートIP、APIPAのIPv4アドレスについて、シンプルなネットワークアイコンで示したインフォグラフィック

クラスAからE以外にも、特別なネットワークおよび通信の目的で使用されているIPv4アドレスがあります。

ループバックアドレス

127は本来のクラスAの範囲内に含まれますが、127.0.0.0/8のブロックはループバックおよびローカルホストのテスト用に予約されているため、使用可能なクラスAアドレス範囲からは除外されています。最も一般的に使用されるループバックアドレスは「127.0.0.1」で、ホスト名では「localhost」として知られています。ループバックの全範囲は「127.0.0.0」から「127.255.255.255」までです。

この範囲のアドレスを使用することで、テスト、診断、およびソフトウェア開発の目的で自分自身へ通信を返します。

プライベートIPアドレス

プライベートIPアドレスは、内部ネットワーク通信用に予約されています。プライベートIPアドレスは、インターネットを介して公的にルーティングされることはありません。インターネット番号割り当て機関(IANA)は、クラスA、クラスB、クラスCそれぞれに1つずつ、以下のプライベート範囲を予約しています。

  • 10.0.0.0/8(クラスA)
  • 172.16.0.0/12(クラスB)
  • 192.168.0.0/16(クラスC)

これらのプライベートIPアドレスの範囲は、家庭用Wi-Fiネットワーク、オフィス、企業環境、クラウドインフラ、ルーター、および同一ネットワーク内でデバイスが安全に通信する必要があるその他の内部システム間で幅広く使用されています。

たとえば、多くの家庭用ルーターは、「192.168.1.1」や「192.168.0.1」などのローカルデバイスアドレスを割り当てており、これによりスマートフォン、ノートパソコン、プリンター、スマートホームデバイスが、パブリックインターネットと直接やり取りすることなく、内部でプライベートに通信できるようになります。

プライベートIPアドレスを使用するデバイスは、NAT(ネットワークアドレス変換)を介して外部と通信します。NATは、インターネットアクセス用にプライベートIPアドレスをパブリックIPアドレスに変換する技術です。ダブルNATについては、こちらの記事をご参照ください。

APIPA(自動プライベートIPアドレス指定)

APIPA(自動プライベートIPアドレス指定)は、DHCPサーバーが利用できない場合に、デバイスが自身で一時的なIPアドレスを割り当てる機能です。APIPAは「169.254.0.0/16」の範囲内で、ランダムかつ一時的にIPアドレスが割り当てられます。

APIPAアドレスでは、デバイスは同じローカルネットワーク上の他のデバイスとは通信できますが、インターネットにアクセスすることはできません。DHCPサーバーによって有効なIPアドレスが割り当てられるまで、「ネットワーク接続がありません」または「接続が制限されています」という警告が表示されることが多いです。

IPクラスにおけるサブネット分割の仕組み

「サブネット分割(サブネット化)」は、IPクラスの仕組みやIPv4システムでのデバイス間の通信方式を理解するために不可欠な要素です。サブネット分割は、大規模なネットワークを「サブネット」と呼ばれるより小さく管理しやすい内部ネットワークに分割する技術のことです。

サブネット分割は、1つの大きなネットワークを、部署、オフィスの場所、デバイスの種類、または運用上のニーズに基づいて、小さなグループ(サブネット)に分割することができます。これにより、不要なブロードキャスト通信を削減し、ネットワーク全体のパフォーマンスを向上させ、セグメンテーション(細分化)を強化できるため、内部ネットワークの管理とセキュリティの向上に役立ちます。

サブネット分割は、IPv4アドレスのサブネットマスクを変更する仕組みで、アドレスのホスト部分からビットを割り当てることで、管理者は1つの大規模なネットワークから複数の小規模なサブネットワークを作成できます。作成されるサブネットの数が増えるほど、各サブネットが収容できるホスト数は減少するため、組織はトラフィックの流れ、デバイスの構成、およびIPアドレスの割り当てをより細かく制御できるようになります。

サブネット分割は、従来のクラス制(クラスフルアドレッシング)のアドレス指定システムを大幅に改善できますが、IPv4の根本的な問題を解決するものではありません。IPアドレスの各クラスはネットワークサイズが固定されているため、クラスフルアドレッシングでは必要とするよりも遥かに多くのアドレスが割り当てられるという事態が多くの組織で発生してしまい、IPv4アドレス全体でかなりの無駄が生じていました。

さらに、インターネットが急速に普及するにつれ、クラスフルアドレッシングでの対応に限界が訪れたため「CIDR(クラスレス・インタードメイン・ルーティング)」が導入されることとなりました。CIDRは柔軟性と拡張性に優れたシステムで、IPアドレスのクラス分けを廃止し、現代のネットワーク全体におけるルーティング効率を大幅に向上させました。

CIDR:IPアドレスのクラス分けに代わる新しい方式

「クラスレス・インタードメイン・ルーティング(CIDR)」は、従来のクラスフルアドレッシングに代わり、はるかに柔軟で効率的なルーティングシステムです。CIDRは、IPアドレスのクラス分けを廃止し、VLSM(Variable Length Subnet Mask:可変長サブネットマスク)とCIDR表記法を採用しています。

CIDRでは、IPアドレスの末尾に「/22」のようなサフィックスを追加します。スラッシュの後の数字は、アドレスのネットワーク部分に割り当てられるビット数を示しており、これによりネットワークの規模をより高精度に定義しやすくなりました。

この仕組みにより、IPv4アドレス空間の無駄の削減、ルート集約の改善、そしてクラス毎の固定的な枠組みに制限されることなく効率的な拡張が可能になりました。また、CIDRは必要なサイズに合わせて柔軟にIPアドレスを割り当てることで、IPv4アドレスの枯渇を遅らせる上でも重要な役割を担っています。

CIDRは、IPv4およびIPv6ネットワークの両方において一般的に普及しているルーティングおよびIP割り当て方式であり、現代のインターネットインフラの運用において中核的な役割を果たしています。

よくある質問

IPアドレスとは?

IPアドレスとは、スマートフォン、タブレット、家庭用ルーターなどの機器をインターネット上で識別するための一意の識別番号のことです。IPアドレスが割り当てられることによって、コンピュータやその他のデバイスは通信データを正しくやり取りすることができます。

IPアドレスは、いくつのクラスに分類されますか?

IPv4アドレスはA、B、C、D、Eの5つのクラスに分類されます。クラスA、B、Cは従来のネットワークやデバイスのアドレス指定に使用されるのに対し、クラスDおよびEは特定の予約領域として定義されています。

IPアドレスの各クラスと範囲の仕組みとは?

IPアドレスのクラスは、ネットワークの規模や目的に基づいてIPv4アドレスをグループ分けするものです。クラスAは大規模組織のネットワーク向け、クラスBは中規模組織のネットワーク向け、クラスCは一般家庭や小規模な事業向けに設計されています。クラスDはマルチキャスト通信を処理し、クラスEは実験的な用途のために予約されています。各クラスは特定のIPアドレスの数値範囲を使用しており、各アドレス(デバイス)がどの規模のネットワークに属しているかを識別できるようになっています。

プライベートIPアドレスクラスとは?

プライベートIPアドレスクラスとは、クラスA、B、Cに属するプライベートネットワーク用に予約されたIPアドレスのブロックを指します。プライベートIPアドレスは、ローカルネットワークやクラウド上の内部通信に使用され、インターネットと通信するにはパブリック(グローバル)IPアドレスに変換する処理が発生します。

ネットワークにおけるIPアドレスクラスの役割とは?

IPアドレスクラスは通信とルーティングを簡素化するためのもので、IPアドレスの最初のオクテットに基づいてIPアドレスをクラス分けすることで、ネットワークの規模や用途を簡単に識別できる仕組みです。これによりルーティングの効率が向上し、組織のニーズに応じてネットワークを拡張できるようになりました。

VPNはIPアドレスクラスを変更したり、隠したりできますか?

VPNを使うとVPNサーバーからIPアドレスが割り当てられ、実際のIPアドレスを隠すことができます。つまり、インターネット上にはVPNサーバーのパブリックIPアドレスが表示されることになります。なお、VPNサービスや接続するサーバーによっては、実際とは異なるクラスのIPアドレスが割り当てられます。

参考文献

  1. The Difference Between IPv4 and IPv6 – IPv4.Global
  2. RFC 791: STD 5: Internet Protocol – RFC Editor 
  3. Classless Inter-Domain Routing (CIDR): an Address Assignment and Aggregation Strategy – RFC Editor
  4. What Is IPv6? – Cisco
  5. Class A addresses – IBM
  6. Configure IP Addresses and Unique Subnets for New Users – Cisco